HSP気質の事務員、川池です。
田舎の小さな会社でおどおどしながら総務を担当しています。
社員が突然「代休」を申請してきて焦ったことはありませんか?
私が勤める会社では、休日出勤した場合
時間外勤務手当で対応するのを通常としています。
しかしある日
初めて「代休」の届出書が回ってきたのです。
あわてて就業規則を確認してみると、たしかに規定されていました。
これは総務担当としてあってはなりません(汗)
この記事は、代休の給与計算方法など
私が必死になって調べた結果を実務の視点からまとめたものです。
代休とは?
代休とは、会社が定める休日に出勤をした場合
事後に代替休日を指定して取得するものです。
法律に定めはありません。
代休取得を認めている会社では、就業規則に規定されているはずです。
規定する項目は主に
- 代休取得日は賃金を支払わない旨
- 取得日は出勤日から○日以内に限る
などです。
代休の給与計算ってどうするの?
有給休暇と異なり、代休取得日に所定労働分の賃金は支払われません。
しかし
休日出勤をした事実は消えないので、割増分は支払う必要があります。
![](https://hitoripo.com/wp-content/uploads/2023/06/IMG_5571.png)
ここがややこしいのです(泣)
たとえば
土曜日と日曜日を休日と定め、このうち日曜日を法定休日としている会社の場合。
土曜日に出勤し、次の月曜日を代休日として取得したとします。
この場合
月曜日の所定労働分の賃金は支払われませんが、土曜日に出勤した分の割増賃金は支払われます。
![代休取得日の給与計算方法を表す図](https://hitoripo.com/wp-content/uploads/2023/01/daikyuu1.png)
![代休取得日の給与計算方法を表す図](https://hitoripo.com/wp-content/uploads/2023/01/daikyuu1.png)
労働基準法では、時間外勤務や休日労働をした労働者に対して
割増賃金を支払わなければならないと定めています。
使用者が、…(中略)…労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。…(後略)…
(労働基準法第37条第1項)
たとえ代休を取得しても、時間外勤務や休日労働をしたという事実は消えないため
割増賃金を支払わなければ法律違反となってしまいます。
事例の会社では日曜日を法定休日と定めているため
土曜日は所定休日となります。
つまり時間外勤務の扱いなので、通常は基本給等×勤務時間×125%の計算です。
しかし代休の取得により、所定労働分は支払う必要がなくなりました。
これにより、25%の割増分のみ(上図のオレンジ部分)を支払うことになるのがポイントです。
代休と振替休日との違いは?
代休と似た制度に「振替休日」というものがあります。
振替休日は、事前に休日と労働日を交換する制度です。
代休と同じく、法律に定めはありません。
会社の就業規則に規定されています。
事前に交換する、というのがポイントで
交換前に休日だった日は交換後に休日でなくなることを意味します。
たとえば先ほどと同様
土曜日と日曜日を休日と定め、このうち日曜日を法定休日としている会社の場合。
事前に水曜日と土曜日を交換したとします。
![振替休日をイメージする図](https://hitoripo.com/wp-content/uploads/2023/01/daikyuu2.png)
![振替休日をイメージする図](https://hitoripo.com/wp-content/uploads/2023/01/daikyuu2.png)
これにより
水曜日が所定休日、土曜日が所定労働日に変更されます。
したがって
土曜日に出勤しても、所定労働をしたにすぎず、割増賃金は発生しません。
ここが、休日出勤した事実に基づき割増賃金が支払われる代休と異なる点です。
振替休日は事前に申請するものですが
代休は事前に申請をせず、事後取得するものである
と考えると分かりやすいです。
代休は法律に定められていない?
前述のとおり
代休および振替休日については労働基準法に明記されていません。
振替休日については
実施する場合にあらかじめ就業規則に規定しなければならない旨の行政通達が発出されています。
実務では当然のように、代休についても同様であることでしょう。
参考までに
法律で定められた労働者の権利として知られるのは、有給休暇です。
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。…(後略)…
(労働基準法第39条第9項)
労働者が有給休暇を取得した場合、平均賃金もしくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金などを支払わなければならないと定められています。
まとめ
小さな会社の総務を担当する私が
「代休」に関して調べたことをまとめてみました。
- 代休
会社が定める休日に出勤をした場合、事後に代替休日を指定して取得するもの。
法律に定めはなく、会社の就業規則で定める。
所定労働分の賃金は支払われないが、割増分の賃金は支払わなければならない。 - 振替休日
事前に休日と労働日を交換する制度。
法律に定めはなく、実施する場合は就業規則への規定が必須。
法定労働時間を延長しない限り、割増賃金は支払われない。 - 有給休暇
法律で定められている。
休暇取得日にも、所定労働分の賃金等が支払われる。
もし追加、修正等あれば
その都度更新していきます。
就業規則に規定されていることでも
事例がないとあたふたしてしまうものです(汗)
急な代休対応にお困りの事務員さんにとって
少しでも参考になれば嬉しいです。