総務の仕事内容とは?元総務事務員が詳しく解説します

アイキャッチ画像
  • 総務って具体的に何をするの?
  • なんとなく想像はできるけど、経験者から実際の詳しい仕事内容を聞いてみたい

このように考えているなら、本記事が少しは参考になるかもしれません。

わたしは中小企業の総務事務員を5年間経験しました。
本記事では総務の仕事内容について、経験者の立場から詳しく解説します。

なお、総務の仕事は会社の規模によっても異なります。
本記事で前提とする「総務」は以下のとおりです。

本記事で前提とする「総務」
  • 中小企業において
  • 総務・人事・経理
  • 1~2人で担当する場合
もくじ

総務の仕事内容

総務の仕事は次のように分類されます。

以下で順番に解説していきます。

①毎日やること

毎日やること
  • 来客対応・電話応対
  • 入出金確認
  • 旅費等の精算
  • 支払業務
  • 小払金(手提げ金庫)管理
  • 郵便物の仕分け
  • 弁当の発注
  • ゴミ出し

来客対応・電話応対

それぞれ用件を聞いたうえで適切な対応をとります。
主に担当者への取り次ぎや、名刺を預かるといった対応です。

事前に来客があることを知らされていた場合は、応接室に案内したうえでお茶の準備をします。

わたしが在籍していた会社では、電話のほぼ半分が営業電話でした。

営業電話ばかりを相手にしていると少し疲れますが
「正直に」「はっきりと」「感じよく」を意識することで丁寧に断れます。

現役時代に書いた記事もあわせてご覧ください。

入出金確認

銀行口座をチェックし、入出金の有無を確認します。

近年はネットバンキングにより、銀行へ出向かなくても入出金確認が可能です。

入出金があれば、摘要欄や金額を参考に詳細を確認したうえで帳簿へ記入します。

会社によっては、電子勘定システムの導入により紙の帳簿を廃止しているケースもあるでしょう。

わたしが在籍していた会社では、紙の帳簿と勘定ソフトを併用していました。

いずれにしろ、残高が合致しているかどうかまで確認する必要があります。

旅費等の精算

社員が出張した場合に旅費の精算をします。

わたしが在籍していた会社では、小口現金を管理していました。

社員からの請求の都度、手提げ金庫から精算を行う昔ながらのスタイルです。

近年は電子精算システムの導入により、小口現金を廃止する会社もあるようですね。

支払業務

書籍代や研修費など、比較的小さな金額を支払う場合は
近くのATMまで支払いに行きます。

先延ばしにしてしまうと失念したり、支払期限が切れてしまったりする恐れがあります。
なるべく早めに済ませましょう。

支払いに行く時刻を固定したり、別な用事の際に立ち寄ったりして
効率よく済ませられるといいですね。

小口現金の管理

前述しましたが、旅費精算などのために手提げ金庫で管理しておくお金が小口現金です。

多すぎず、かつ社員に不足なく支払えるような金額を用意しておく必要があります。

釣り銭不足を避けるため、全種類の硬貨をそろえておくと社員にやさしいです。

足りなくなってきたら早めに銀行へ行くようにしましょう。

郵便物の仕分け

会社に届いた郵便物を宛名別に分類し、担当者に渡します。

ダイレクトメールなど、中には担当者に渡す必要がないと判断できるものもあります。

判断に慣れてきたら、社員に煩わしい思いをさせないよう破棄する心配りも大切です。

ただし、開封については慎重に行う必要があります。
たとえ会社宛であっても、気になる場合は開封せずに上司や責任者に相談しましょう。

弁当の発注

注文表などで数量をとりまとめ、業者に発注します。

ゴミ出し

収集時間に合わせて規定の場所にゴミを出します。

家庭ゴミと同様、収集員さんに配慮しルールを守って出しましょう。

社内ではゴミ箱があふれていないか、つねに気にかける必要があります。
分別がわかりやすくなるような工夫ができるといいですね。

②毎月やること

毎月やること
  • 勤怠確認
  • 給与計算

勤怠管理

社員の労働時間有給休暇取得状況などを確認します。

給与計算のほか、人件費対策や健康管理の指標としても用いられる重要なデータです。
正確に集計しましょう。

近年は多くの会社で勤怠管理システムが導入されています。

わたしが在籍していた会社でも、システムによる集計データを人間の目でダブルチェックしていました。

給与計算

経理部門を兼ねている場合、給与計算は総務の代表的なルーティンワークです。

社員にとって、給与は正しく支払われて当たり前
ミスなくこなすことが求められます。

勤怠管理システムと合わせて、給与計算システムを導入している会社も多いです。

ただし、保険料率の変更社員の扶養追加など
人の手で設定変更が必要な場合はミスが生じやすいです。

給与計算ソフトに頼り切りにならず、税法や算出方法を理解し
数字の確認を怠らない姿勢
が欠かせません。

特にイレギュラーな事例は慎重に対応しましょう

③年に数回やること

年に数回やること
  • 備品の管理・発注
  • 会社設備のメンテナンス
  • 取締役会の事務局
  • 社用車の管理・点検
  • 会社行事の手配 

備品の管理・発注

事務用品パソコン周辺機器などの備品を管理・発注します。

だいたいどこの会社でもそうだと思いますが
わたしが在籍していた会社では、備品の種類に応じていつも取引をしている業者がいました。

買い替えの検討時に、おすすめ商品や見積もりの相談に乗ってくれるため助かります。

社員から依頼されたらすぐ行動に移せるよう、連絡先を手元に準備しておくことが大切です。

会社設備のメンテナンス

冷暖房エレベーターなど、会社設備のメンテナンスを各取引業者に手配します。

定期点検を依頼するほか、故障時にはすみやかに連絡できるよう
連絡先は一覧にしておくと便利です。

冷暖房はシーズン前に試運転してみることをおすすめします。

なお、メンテナンス中に電気や水道が止まるなど社員への影響がある場合は
あらかじめアナウンスしておきましょう。

取締役会の事務局

年に数回行われる取締役会の日程調整資料作成を担当します。

社用車の管理・点検

車検や冬期のタイヤ交換など、社用車の管理・点検を行います。

特にタイヤ交換のシーズンは大変混み合うため、予約が取りづらくなります。
社員の業務に支障が出ないよう、早めの行動を心がけましょう。

社用車を利用した社員から不具合の報告があった場合は、ディーラーに連絡をとるなど迅速な対応が必要です。

会社行事の手配

代表的な会社行事といえば飲み会です。

出欠確認会場予約タクシーの手配など
モレのないように準備しましょう。

わたしが在籍していた会社では、もともと幹事を持ち回りにしていました。

新型コロナウイルスの流行により、会社行事はすべて中止。
再開後はしばらく総務が手配を担当することになりました。

幹事は持ち回りや得意な人に任せたほうがいいですね。
ただし会社の経費で開催する場合は、総務が担当するのがふさわしいでしょう。

④年に一度やること

年に一度やること
  • 予算・決算
  • 年末調整
  • 算定基礎届
  • 健康診断
  • 予防接種補助
  • 株主総会の事務局
  • 年賀状の作成

予算・決算

総務にとって年に一度の大イベントといえば予算・決算業務です。

株主総会で決算の承認が行われるため、間に合うように逆算して進めていきます。

なお、決算業務は顧問税理士さんと密に連絡を取りながら行います。

年末調整

1年間の収入金額が確定する12月に、社員の所得税を精算する業務が年末調整です。

社員から扶養の申告書や生命保険料の控除証明書などを添付してもらいます。
それらによって算出した所得税の年額と、月々天引きされていた源泉所得税額との差額を調整します。

ほとんどの社員は還付になりますが、追徴となる社員には理由説明が必要です。

年末調整も給与計算システムを使います。
システム操作方法の習得とともに、計算の仕組みを十分に理解しておきましょう。

算定基礎届

健康保険料と厚生年金保険料を決定するための届出が算定基礎届です。

毎年4~6月の賃金支払額をもとに、当年度の保険料額が確定します。

原則は一年間同額を負担することになります。
ただし賃金が大きく変更した場合は、随時改定の届出が必要です。

算定基礎届も給与計算システムを使って作成できます。

随時改定の対象者がいる場合は、届出用紙や添付書類などが異なります。
健康保険組合や年金事務センターからの案内文をよく読み、慎重に手続きを進めましょう。

健康診断

社員に対する定期健康診断は会社の義務です。

毎年決まった時期に社員の希望受診日をとりまとめ、医療機関に申し込みます。

社員の健康を推進する会社は、検診その他オプションメニューへの補助を行うこともあります。

オプションメニューの案内受診日の注意事項など、社員に必要な情報は必ず共有しましょう。

社員から日程変更の依頼を受けることもありました。
本人が直接変更することもできますが、総務で引き受けたほうが社員の負担を軽くできます。

予防接種の補助

インフルエンザその他疾病の予防接種は、健康保険組合から補助が出ます。

会社によっては差額を会社で補助し、社員の負担額をゼロにするケースもあります。

わたしが在籍していた会社もそうでした。

社員への情報共有は必須です。
予防接種をした本人やその家族をリスト化し、必要に応じて声かけをするなどの配慮が求められます。

インフルエンザの場合は、補助金申請開始から締め切りまでの期間が長いです。
「申請するのを忘れて補助金が受けられない」ということのないようにしましょう。

株主総会の事務局

決算承認や役員選出などのため、年に一度必ず行われるのが株主総会です。

日程が決まったら、株主への案内文議案の作成にとりかかります。

年賀状の作成

取引先所属団体などに向けた年賀状を作成するのも総務の仕事です。

時期になったら住所や社名に変更がないか確認し、元日に届くよう作業を進めます。

なお、近年は環境への配慮から年賀状を廃止する会社も増加しています。

たしかにビジネスの年賀状って真剣に見ることはありません。
個人的にはどんどん廃止してほしいなと思います(苦笑)。

⑤何年かに一度やること

何年かに一度やること
  • リース物件の管理

リース物件の管理

OA機器什器社用車などをリース契約している場合は管理が必要です。

それぞれのリース期間がすぐわかるようにリスト化しておきましょう。

契約満了を迎えたら、再リースの検討が必要です。

⑥その都度やること

その都度やること
  • 入社・退職手続き
  • 社員の扶養追加・削除
  • パソコンの不具合の解消
  • 出張の手続き
  • 慶弔の対応
  • 上層部からの頼まれごと
  • 各種書類の作成・管理
  • セキュリティ対策・マイナンバーの管理
  • 社内・社外広報
  • 採用事務
  • 就業規則の改定
  • その他雑務

入社・退職手続き

新入社員や退職する社員がいる場合に必要な手続きを行います。

提出してもらう書類連絡事項をわかりやすく説明し、モレのないよう注意しましょう。

社員の扶養追加・削除

社員の家族に変動が生じたら、扶養の追加・削除の手続きが必要です。

たとえば、子が誕生したら扶養の追加手続き。
子が就職したら扶養の削除手続きを行います。

一概に扶養といっても健康保険・税・家族手当で手続きは異なります
それぞれの手続きを忘れないようにしましょう。

パソコンの不具合の解消

「パソコンが動かなくなった」など
社員のパソコンに何らかの不具合が生じている場合はすみやかに対処します。

基本的には業者に来てもらったり、リモート操作をしてもらったりして
解決のサポートをしましょう。

業者を呼べない場合に備えて、日頃からパソコンの基礎知識を習得しておく必要があります。

出張の手続き

社員の出張が決まったら、ホテルや交通機関の手配をします。

必要に応じて仮払金の準備もしましょう。

出張は負担が大きいため、社員が少しでも安心して業務に打ち込めるよう
万全なサポートをすることが大切です。

慶弔の対応

社員が結婚や出産をした場合は、結婚祝出産祝を。
不幸があったときは、弔電供花の手配、香典の準備をします。

慶弔時の対応方法は就業規則に定められています。
金額の目安や特別休暇の日数などは規則にしたがいましょう。

上層部からの頼まれごと

総務は社長をはじめ上層部から急な頼まれごとをされる場合があります。
たとえば次のようなことです。

  • 所属団体の懇親会の出欠報告
  • 研修会の申し込みと料金の支払い
  • 社内回覧
  • 資料作成 など

ちょっとしたことから大ごと(?)まで様々です。

どうしても急ぎの仕事がある場合を除き、上層部からの頼まれごとは優先して行いましょう

各種書類の作成・管理

会社名で発信する通知文書契約書類の作成などは総務の仕事です。

営業事務を兼ねている場合は、入札書類の作成も行います。

また、他部署から「こんな書類を作ってほしい」と無茶ぶりされることもあります。

様式が決まっていない場合、一から作成するには手間がかかります。
日頃から様々な文書様式に触れたり、Wordの知識をつけたりして準備をしておきましょう。

セキュリティ対策・マイナンバーの管理

総務では社員に関わる様々な個人情報を扱うため、万全なセキュリティ対策が求められます。

特に慎重に扱わなければならないのはマイナンバーに関する情報です。

個人情報を厳正に管理しなければ社員からの信用を失います。

鍵付き金庫に保管する、書類提示の依頼には根拠を示すなど
適切なセキュリティ対策をとりましょう。

マイナンバーの本人確認にはルールがあります

社内・社外広報

連絡事項は、総務から社内メールグループラインなどを使用して発信します。

すべての社員に送る場合だけでなく、管理職だけに送る場合などもあります。
必要に応じて送信先を分類しておくと便利です。

前に送った文章を使い回せるようフォルダ分けしておくなど、効率よく連絡する工夫をしておきましょう。

社外に向けてはホームページSNSにより情報発信することが多いです。

採用事務

人事部門を兼ねている場合は、総務で採用事務も担当します。

ハローワークへの掲載手続きをし、応募があれば履歴書を上層部と共有します。

書類審査の結果、面接が確定した場合は応募者への日程調整連絡が必要です。

会社で応募者の旅費を負担することになっている場合は、応募者から交通手段を聞き取り
所要金額を渡しましょう。

採用決定から入社までの間、応募者にとっては総務が会社窓口となります。

就業規則の改定

法改正の都度、就業規則の改定が必要です。

顧問社労士さんから連絡を受けたり、こちら側から連絡をしたりして
改定案の作成を依頼します。

労基署への届出が終わり次第、すべての社員に共有しましょう。

その他雑務

最後は、どこにも分類できない雑務です。

たとえば次のようなものが挙げられます。

  • 植木の水やり、植え替え
  • 電球・電池交換
  • お茶やコーヒーの調達
  • 熱中症対策 など

キリがありません……(笑)

たかが雑務、されど雑務です。
仕事が一段落しても、何かしらの雑務は必ずあります。

総務に求められるのは
社員が働く環境をつねに考え、積極的に行動できる姿勢です。

まとめ:総務は社員が気持ちよく働くための下支え

中小企業の総務事務員を5年間経験した立場から、総務の仕事内容について解説してみました。

総務の仕事は幅広く、本記事だけでは到底書ききれません。

わたしの能力不足でわかりづらい部分もあるかと思いますが
社員が気持ちよく働くための下支えというイメージが伝わりましたら幸いです。

本記事が総務の仕事に興味を持つ方へのささやかな助けとなりますように。
最後までご覧いただきありがとうございました。

アイキャッチ画像

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
もくじ